最近、よく｢クオリティ・オブ・ライフ｣という言葉を耳にするのではないでしょうか。クオリティ・オブ・ライフとは、生活の質あるいは人生の質のことです。たとえば、がん治療を受ける過程で、患者はさまざまな苦痛を味わいます。そこで、医療現場では患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を高める看護ケアを提供しようという動きが出てきています。
患者や家族が身体的・精神的に抱える苦痛を和らげ、サポートしようというのがクオリティ・オブ・ライフの看護ケアです。患者が｢自分の人生はよかった｣と思えるためのサポートです。患者の話を聞き、どんなことを望んでいるのか、どんな価値観を持っているのかを知ることがQOLを高める第一歩です。患者は、どこに不安を感じているのか、どうすれば不安が和らいで心が落ち着くのか、時間を取って患者の話に耳を傾けましょう。
患者の尊厳を守るため、できることは患者本人にやってもらう方がいいでしょう。QOLを考える際に、ADLつまり日常生活動作は重要な要素になります。日常的な動作ができることは、患者の自信につながり、自尊心を保つ助けになります。できるところは、おまかせし、できないところはサポートする看護ケアが大切です。リハビリと連携した看護ケアを意識しましょう。具体的には、寝たきりにするのではなく、なるべく車いすでベッドから離れるようにしましょう。なるべくオムツに頼らず、介助をしながらトイレで排泄できるようにサポートすることなどができます。